Amies Philosophy ー世界観ノ創造ー

世界は物語。物語は雲。世界観の創造は水を雲にすること。世界観は入道雲のように空高く。

概念の誕生

f:id:sutekinakaba:20200303000146j:plain

 

概念。

 

太陽。太陽の概念。

青空。青空の概念。

雲。雲の概念

鳥。鳥の概念。

 

あなたたちはどうやってこの世に生を受けたのか。

あなたを生むのは概念という概念が生まれたから。

だから知らなければならない。

概念という子がこの世に生を受けるに至った経緯を。

 

概念(がいねん)

1 物事の概括的な意味内容。「概念をつかむ」「文学という概念から外れる」
2 《concept》形式論理学で、事物の本質をとらえる思考の形式。個々に共通な特徴が抽象によって抽出され、それ以外の性質は捨象されて構成される。内包と外延をもち、言語によって表される。

出典 小学館デジタル大辞泉

 

概念とはそういうものらしい。そう辞書に書いていた。

辞書という本。本とは文字が書かれた紙が束になったもの。今は電子書とかあるけれど、本質的な機能は変わらない。

機能、機能。本の機能といえばものごとを文字として記録し、自分ないしは他者がそれの文字を見たときに、もとの対象となったものごとのイメージがおおよそ再現性が高い状態で復元させる、そんな感じではないか。

そうすると文字という存在が気になる。文字とは記号。何かを表す記号。何かとはなんだ。いや、何でもいい。

 

事象(事象)

1 ある事情のもとで、表面に現れた事柄。現実の出来事。現象。「自然界の事象」

出典 小学館デジタル大辞泉

 

何でもいいという意味を内包していそうなものを見つけた。事象。うん、なんかしっくりくる。何でも、って人間の思考から切り離された外部の事柄って感じ。だから事象がいい。

 

事象を表す記号が文字。いい感じ。いい漢字。文字は自由だ。一回使えるようになれば言葉遊びもできる。あ、言葉。文字と言葉は何か関連性があるに違いない。

 

1 人が声に出して言ったり文字に書いて表したりする、意味のある表現。言うこと。「友人の―を信じる」
2 音声や文字によって人の感情・思想を伝える表現法。言語。「日本の―をローマ字で書く」
3 文の構成要素をなす部分。単語。また、語句。「―が豊富だ」「一々の―を吟味して話す」

出典 小学館デジタル大辞泉

 

なるほど、言葉は音声や文字による意味の表現。裏を返せば意味のある表現には文字以外にも音声表現があるのか。

 

音声は文字よりも速いコミュニケーションツールとして使われている。そう、会話。会話では音声での意思疎通を図っている。音声で意思疎通できるのも、音で事象を表現できているからに違いない。人類が原始から使われたツールは音声に違いない。下等動物が文字を使わないことが理由である。文字はその後の技術の進歩で登場。

 

なにはともあれ。よくぞここまで、この世のありとあらゆる事象を音や記号で表現できるようにしてくれた。ほんとうに素晴らしい。複雑でいろんな意味で発散した事象、またの名を混沌。そこに含まれているカオスな情報を音や記号という必要最小限の言葉に圧縮できたものかと感心を通り越して感神。

 

事象の圧縮化。.jpg .mp3みたいな拡張子が音声や文字にくっついていそう。音声や文字の圧縮解凍装置が脳みそ。それにより事象が再現される。

 

そうそう。脳みそが事象へ解凍できるという事は、あらかじめ事象を認識できなければいけないはずだ。事象を脳みそが認識できるから音声や文字だけで事象をイメージできる。だがそのためには脳みそにもう一つの機能が備わっていなければならない。それは、記憶。脳みそに事象が記憶されていなければ、音声や文字は解凍されない。解凍できない。うん、不便だ。

 

脳みその中で起こっている反応は、音声や文字が入力されたとき、記憶した事象の中から最適なものを選び、それを再生する。そんな反応。だから、脳みそが圧縮解凍装置として働くには、音声や文字と事象をひたすらにして結びつける訓練をしなければなるまいて。それは子どもの仕事。子どもの頭の中ではこれを必死にやっている。

 

ようやく役者がそろった。

 

① 事象の認識

② 事象の記憶

③ 事象の音声化

④ 音声の文字化

 

この四つのスキル。これらを駆使する。

事象を認識して記憶する。その記憶と音声を繋げる。すると音声から特定の事象の記憶がよみがえり、その音声の意味を理解する。それを他と共有することで意思疎通ができるようになる。ただし、脳みその記憶容量も限りがある。そこで脳みそとは切り離された外界を活用する。それは印。それは記号。そして記号と意味のある音声が結びついたとき記号は文字となった。文字は音声とつながり、音声は事象とつながる。そして文字は事象とつながった。事象が文字に取り込まれたことにより混沌の中で無秩序に散在していた単一の事象が次第に抽出されていった。そうすると事象群は整理されていき秩序だったものに分類されていく。抽象的な意味をもっていたものが秩序化とともにより厳密に、そして単一な意味ごとに整理されてゆく。この細分化された素事象とそれを表す文字、そしてその文字の組み合わせにより意味を形成する。認識困難な上位事象を複数の低位事象文字を用いて表現することで、認識可能レベルまでで分解する。これが意味付けであり、いわゆる概念である。

 

混沌とした事象を整理することであらわになった事象の意味。

それを我々は概念と呼ぶ。

にほんブログ村 哲学・思想ブログへ